NISA売却・解約の手順と注意点|非課税枠は復活する?税金は?【2026年版完全ガイド】
「NISAを始めたけれど、急にお金が必要になった」「損しているから売りたい」「別の投資に切り替えたい」——そんな理由でNISAの売却・解約を考えることは誰にでもあります。ただ売る前に知っておかないと損する落とし穴があります。非課税枠はどうなるのか?手順は?税金は?2026年版の完全ガイドとして解説します。
📑 目次(クリックで移動)
この記事でわかること
- NISAの「解約」と「売却」の正確な意味の違い
- 売却後に非課税枠が復活する仕組みと復活タイミング
- 楽天証券での売却手順(投資信託・株式・ETF)
- NISA口座での売却で本当に税金がかかるのか
- 損失が出ているときの売却判断ポイント
- NISA口座そのものを廃止・乗り換えする手順
先に結論
NISAで投資信託や株式を売却することは簡単です。売却益は非課税のままで、税金は0円です。最も重要なポイントは、売却した非課税枠が翌年1月1日に復活するという仕組みを理解することです。ただし復活額は売却時の時価ではなく、買値(簿価)ベースで計算されます。
NISAの「解約」と「売却」の違い
まず言葉の整理から始めることが重要です。NISAには厳密に「解約」という手続きはありません。一般的に言う「NISA解約」は、実は以下の複数の操作を指しており、その違いを理解することでトラブルを防ぐことができます。
| 操作 | 意味 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 売却 | 保有している投資信託・株式・ETFを売ってお金に換える | 一部または全部を現金化したい場合 |
| 口座解約 | NISA口座そのものを廃止する | 証券会社を変更したい場合、NISAを完全にやめたい場合 |
| 積立停止 | 毎月の自動積立を止める | しばらく投資を休みたいが、現在の保有分は保ちたい場合 |
多くの場合、必要なのは「売却」だけです。口座を解約する必要はありません。実際のところ、NISAの売却手続きは非常にシンプルで、証券会社のアプリやサイトから数クリックで完了します。
新NISAで売却すると非課税枠はどうなる?
これが最も重要なポイントです。新NISA制度では、売却した分の生涯非課税枠が翌年1月1日に復活するという仕組みになっています。これは旧NISAとは大きく異なる重要な改正で、多くの投資家が誤解しやすいポイントです。
生涯非課税枠:1,800万円(成長投資枠は最大1,200万円)
売却した場合:翌年1月1日に「簿価(買付金額)分」が復活
年間投資枠(360万円)はリセットされない(当年分は消える)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 枠の復活タイミング | 売却後翌年1月1日(当年には戻らない) |
| 復活額の計算 | 売却時の時価ではなく取得価額(簿価)で計算される |
| 旧NISA(2023年以前) | 売却しても枠は復活しない(この点が大きく異なる) |
| 年間投資枠への影響 | 当年の年間投資枠には戻らない(翌年以降の復活) |
100万円で買ったものが150万円に値上がりして売っても、復活するのは買値の100万円分だけです。利益の50万円分は復活しません。これはNISAの非課税枠が「投資額」を基準に管理されているためです。
具体例で理解する非課税枠の復活メカニズム
実際の例で考えてみましょう。2026年にVYM(米国高配当ETF)を100万円で購入したとします。
シナリオ1:値上がりして売却した場合
2026年1月: VYM 100万円分を購入(年間投資枠から100万円消費)
2026年6月: VYM が150万円に値上がり
2026年6月: 150万円で売却して現金化(売却益50万円は非課税)
2026年末時点: 年間投資枠の残り260万円のみ使用可能
2027年1月1日: 買値100万円分が復活。年間投資枠360万円が新規リセット
シナリオ2:値下がりして売却した場合
2026年1月: SPYD 100万円分を購入(年間投資枠から100万円消費)
2026年6月: SPYDが80万円に値下がり
2026年6月: 80万円で売却(損失20万円。ただしNISA外の利益と相殺不可)
2026年末時点: 年間投資枠の残り260万円のみ使用可能
2027年1月1日: 買値100万円分が復活(値下がり分は考慮されない)
NISAの売却手順(楽天証券の場合)
新NISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠の2つに分かれています。それぞれの売却手順を楽天証券を例に解説します。実際には証券会社によって画面構成は異なりますが、基本的なフローは共通しています。
つみたて投資枠の投資信託を売る場合
- 楽天証券にログインする
- 「投資信託」メニューから「保有一覧」を開く
- 売却したい銘柄を選択する
- 「売却」ボタンをクリックする
- 売却口数または金額を入力する(全部売却か一部売却か選択)
- 「注文確認」画面で内容を確認する
- 「注文する」をクリックして完了
投資信託の売却は、リアルタイムの株価のような「時価」での成約ではなく、その日の基準価額(1日1回算出)で売却されます。通常、注文した当日の基準価額が適用され、その後2~3営業日で現金が証券口座に入金されます。
成長投資枠の株式・ETFを売る場合
- 楽天証券の「国内株式」または「外国株式」メニューを開く
- NISA口座の保有銘柄一覧から売却したい株式を選ぶ
- 「売却」を選択する
- 売却数量と売却価格(成行注文か指値注文かを選択)を入力
- 取引時間内なら即座に成約、時間外なら翌営業日に成約
- 約定(成約)後、確認メールが届く
- 受渡日(約定日の2営業日後)に現金が入金
株式やETFは投資信託と異なり、リアルタイムで価格が変動します。成行注文を使えば即座に売却できますが、指値注文で「この価格になったら売る」という条件を付けることもできます。
投資信託:注文後2~3営業日後に現金が証券口座に反映
国内株式:約定日の2営業日後(受渡日)に入金
米国ETF・海外株式:決済方式により異なるが通常5営業日後程度
売却後の現金は証券口座内に留まり、その後「新たな投資」に充てることもできますし、「銀行口座に出金」することもできます。NISA制度では、売却後の現金も「非課税のままで運用できる」という大きなメリットがあります。
NISAで売却した場合に税金はかかる?
NISAの最大のメリットは売却益・配当金が非課税であること。通常の課税口座では利益の20.315%が税金として引かれますが、NISA口座なら0円です。これは売却時に限らず、配当金や分配金を受け取った場合にも同じく適用されます。
| 口座種類 | 100万円の利益が出た場合の税金 | 手取り金額 |
|---|---|---|
| 課税口座(特定口座・一般口座) | 約203,150円 | 約796,850円 |
| NISA口座 | 0円 | 1,000,000円 |
| 差(NISAのメリット) | — | +203,150円 |
この税制優遇は、売却時点では適用されず、あくまでもNISA口座で管理されている間だけ効果があります。売却後の現金も「NISA口座内の資産」として扱われるため、そこから新たに投資する際も非課税の恩恵を受けられます。
損失が出ているときの注意点
NISA口座で損失が出た場合、その損失を課税口座の利益と相殺(損益通算)することはできません。通常の課税口座では「A株で50万円の利益、B株で30万円の損失」という場合、相殺して「差引20万円の利益」として税金計算できます。しかしNISA口座の損失はこの相殺の対象外です。
つまり、NISA口座で損失が出た場合、その損失は単純に「消える」わけではなく、今後の売却を通じた利益を生み出すまで、塩漬けにせざるを得ないという側面があります。この点が「損失が出ているから売りたい」という心理的な判断を、慎重に検討する理由になります。
NISA口座そのものを解約・廃止する手順
証券会社を変更したい場合や、NISAの利用を完全にやめたい場合は、NISA口座の廃止手続きが必要になります。このプロセスは売却手続きよりも複雑で、いくつかの注意点があります。
- 保有している投資信託・株式を全て売却するか、課税口座に移管する
- 証券会社に「NISA口座廃止届」を提出する(郵送またはオンライン)
- 本人確認書類やマイナンバー確認書類が必要な場合がある
- 廃止完了後、新しい証券会社でNISA口座を開設する
NISA口座は同時に1つの証券会社にしか持つことができません。別の証券会社へ乗り換える場合、旧口座の廃止手続きが必須です。この手続きには2~4週間かかることが多く、その間は新しい証券会社でNISAを使用することができません。同じ年内での複数社でのNISA利用は法的にも認められていないため、乗り換え計画は余裕を持ってスケジューリングすることが重要です。
課税口座への移管について
NISA口座から課税口座への移管は、売却と異なるアクションです。保有している銘柄をそのまま課税口座に移すことができますが、その時点で非課税の特典は失われます。移管後は通常の税金(20.315%)が適用されるようになります。
例えば、NISA口座で50万円購入した投信が100万円に値上がりしている状態で移管した場合、移管後にその100万円を売却すれば、50万円の利益に対して税金がかかることになります。これはタイミング次第で大きな税負担になるため、移管のタイミングは慎重に判断する必要があります。
「損しているから売りたい」は本当に正解?
相場が下落したときに「損が拡大する前に売ろう」と思うのは人間の自然な心理です。しかし長期投資の観点から見ると、下落時の売却は最も損失を確定させやすい行動です。過去の市場データがこのポイントを強く示唆しています。
| 市場危機 | 下落幅 | 復帰までの期間 | その後の上昇 |
|---|---|---|---|
| リーマンショック(2008年) | 約50% | 約3年 | その後12年で3倍以上に上昇 |
| コロナショック(2020年3月) | 約30% | 約1ヶ月 | その後2年で2倍以上に上昇 |
| 日本バブル崩壊(1990年代) | 約70% | 約15年 | 長期保有で部分回復 |
過去のデータを見ると、リーマンショックやコロナショックなど大きな暴落から1~3年で回復しているケースがほとんどです。その間に売ってしまった人は「損失確定」という最悪の結果に直面し、その後の上昇で利益を得ることができませんでした。一方、売らずに保有し続けた人が最終的に利益を得ています。
NISAの制度設計は「長期保有」を前提にしています。特に、非課税枠が生涯1,800万円という上限が決まっているのは、コツコツ長期で積み上げることを想定しているからです。
「急にお金が必要」という理由以外での売却は、一度立ち止まって考えることを強くおすすめします。特に以下のようなケースでは、売却を避けるべき理由があります。
- 感情的な判断での売却:「他の人が損切りしているから」「ニュースで不安情報を見たから」という理由での売却は、後悔につながりやすい
- 短期相場予想に基づく売却:「来月さらに下がると思うから先に売ろう」という予想は、プロでも外れることが多い
- タイミング狙いでの売却:「底値で買い直す」という計画は、実行困難で、結果的に高く買い直してしまうことが多い
よくある質問(FAQ)
いいえ。新NISAでは売却した分の非課税枠が翌年1月1日に復活します。ただし復活額は売却時の時価ではなく、取得時の買値(簿価)を基準に計算されます。例えば100万円で購入した銘柄を150万円で売却した場合、復活する非課税枠は100万円分です。利益の50万円分は復活しません。
いいえ。NISA口座の売却益は税金ゼロです。これはNISA制度の最大のメリットです。通常の課税口座では利益の20.315%が税金として引かれますが、NISA口座なら全額が手取りになります。
いいえ。NISA口座の損失は、課税口座の利益と相殺(損益通算)することができません。また税務申告での損失控除の対象にもなりません。これはNISA口座が「非課税」という特殊な扱いだからです。つまり、損失も利益も課税対象外として扱われるため、損失控除の特典は受けられないということです。
できます。ただし「乗り換え」というアクションは複数の手順が必要です。旧証券会社でNISA口座を廃止する手続きをしてから、新しい証券会社でNISA口座を開設する必要があります。同じ年度内に複数の証券会社でNISAを使用することはできないため、乗り換えには2~4週間かかることが多いです。
手順上の違いはあります。つみたて投資枠は投資信託のみで、売却は基準価額で行われます(1日1回の値付け)。成長投資枠は株式・ETF・投信が対象で、株式やETFはリアルタイム価格での売却となります。ただし税金面での差はなく、どちらで売却しても利益は非課税です。
できます。売却によって得た現金は証券口座内に残り、そこから新たに投資信託や株式を購入できます。ただし年間投資枠(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円、合計360万円)に収まる範囲での投資となります。売却によって枠が復活するのは翌年1月1日からなので、当年中に同じ額を新たに投資することはできません。
米国ETFの売却も日本株と同じく、売却益は非課税です。ただし米国でのETFの配当には米国での源泉徴収(10%)が発生します。売却時の為替変動の影響も受けます。売却後の非課税枠復活は、売却価格ではなく、購入時の価格(簿価)を基準に計算されます。
まとめ:NISA売却の5つのポイント
- 売却は簡単:証券会社のアプリやサイトから数クリックで売却できる。難しい手続きは不要
- 売却益・配当は税金ゼロ:NISA口座なら利益に対する税金は一切かからない。これが最大のメリット
- 非課税枠は翌年復活:売却した非課税枠は翌年1月1日に復活する。ただし復活額は取得価額ベース
- 損失は相殺できない:NISA口座の損失は課税口座の利益と相殺できない。損切りは慎重に判断
- 長期保有が基本戦略:「損したから売る」より「長期で持ち続ける」ことが、最終的な利益につながりやすい


コメント